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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『西部戦線異状なし』

西部戦線異状なし ルイス・ウォルハイム ほか

アメリカ産なのにドイツ人たちの第一次大戦を描いたという変化球な映画だが、内容はストレートな反戦もの。主人公は学生で、まだ右も左も分からないのだけれど、それ故に世論に左右されてしまう。教師は若者たちを煽り、学生たちは志願兵となって戦地に行くことに。実戦の前の訓練で気の良い近所のオヤジに会うも、そこでは鬼教官だったりする。戦争は人を変えてしまうのだ。そして、実際に戦地に赴いてみれば、そこにはただ死が溢れているばかり。友人たちは次々と命を落とすし、自分は人を殺してしまうし、そこには栄光も名誉もあったもんじゃない。さて戦争は数年経っても続いている。負傷して一時実家に帰宅する主人公だったが、母校であの教師がいまでも若者を煽っている様子や、悲惨な戦場を知らない大人たちが愛国を語っていることに辟易し、休暇を切り上げて戦地に帰る。戦場で生き抜く術を教えてくれた古参の兵士と久々の再会を果たすも、その直後に彼は戦死してしまう。そして別の日、主人公も狙撃手に身体を撃ち抜かれて絶命する。

素直に凄いと思ったね。いわゆる反戦映画の全てが既にここで完成していると言っていい。色々と反戦を謳う映画が作られているけれど、言いたいことはこれで全部語ってしまっているじゃないか。行け行けどんどんで戦争をやってるくせに、一方でこういう視点を持っている、こういう映画が作れる、しかも第一次大戦後の段階で。まさに先進国だ。こんな国と戦争をやって日本が勝てるわけがない。

しかしこの映画、日本でも1930年に公開されてるんだね。調べてみると、原作小説は検閲に掛けられてことごとく削除されたとか。映画は憲兵が目を光らせていたらしいけど、しかしこれが上映できたってことは、まだまだ日本にも余裕があったということかな。昔の日本って、本当はどんな国だったんだろう。

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