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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『ベーシック生成文法』

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『ベーシック生成文法 岸本秀樹 ほか

ジェラルド・プリンスの『物語論の位相』に生成文法理論を使った章があったような気がする。えーっ、物語の勉強には生成文法の知識がいるのか、という理由で本書を読んでみる。珍しく本屋で立ち読みして本を買った。薄く、詳しすぎず、細かい情報ではなく大枠を与えてくれるもの、を探して本書にたどり着いた。もっと正直に言うと、第一章を読んですんなり理解できるのが本書だけだった。あぁ、これなら最後まで読めるかな、という直感が働いたのだ。

で、普遍文法の考え方は非常に独創的で面白いのだけれど、辻褄合わせが過ぎるというか、やっていることは何だかインチキくさい、というのが一通り読んでみての感想。まぁ、まともに読めたのは最初の3章までで、後に行くほど納得できない話が増え始め、前の章の内容を忘れて理解が追いつかなくなり、そもそもこの分野に全く興味がないことを思い出し、こういう本をサラッと読んでサクッと理解できる頭でないことを改めて思い知ることになった。

周囲の話す「不完全な文」を聞いて育つにも関わらず、子供は自ら「完全な文」を作り出せるようになる。これは周囲の話し言葉をコピーしたり類推することによって成功するものではなく、人間の生まれ持つ普遍文法が、外部からの刺激を受けて母国語に分化したのだ、という。まるでiPS細胞だ。これさえあれば、もはや外国語など恐れるに足らず。普遍文法をプログラムした機械に話しかければ、スラスラと翻訳されて、相手の国の言葉になる。こんにゃくに練り込めば「翻訳こんにゃく」の出来上がり。そんな未来も遠くない。フランス人に英語で話しかけられてあたふたしているのに、会社の上司が誰も助けに来てくれない、なんて状況も何のそのだ。

あとは普遍文法がSTAP細胞でないことを祈るばかりである。

ベーシック生成文法

ベーシック生成文法