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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『斉藤ひろしのシナリオ教室』

脚本術・映画学・物語論

斉藤ひろしのシナリオ教室』 斉藤ひろし

とりあえず書いていれば何とかなる、という実践派のシナリオ指南書。かといって、ただの根性論が書かれた、何の参考にもならないという代物ではない。アイデアが湧かないのではない、テンションが低いだけだ、という著者による本書は、読んでいるだけで元気になること請け合い。のみならず、脚本家がプロットを起こす際の思考過程を生のまま公開した希有な一冊でもある。さらに著者は、キャラクターから物語をはじめ、箱書きを使って形を整える、という極めてオーソドックスな手法で脚本を書いている。全くクセのないやり方なので、マネがしやすいと思う。

難解意味不明な芸術映画を訳知り顔で絶賛する手合いとその作り手を「頭が悪い」の一言で切り捨てるあたりは痛快で頼もしい。しかも、私はこの著者がシナリオを担当した『秘密』が大好きな映画なので、言うこと言うこといちいち大きく頷いてしまうのだった。残念ながら、この著者ほど私は映画を見ていないし、熱く映画を語る著者の様子を見ていると、自分はそれほど映画好きではないと思わされてしまう。書いていれば何とかなる、というのは飽くまでシネフィル的であることが前提とされている気がするので、私みたいなのは、とりあえず書いていても何ともならないんじゃないか、と少し暗い気持ちになった。

そこでテンションを上げてシナリオを書けや、というのが本書なんだけども。

1週間でマスター 斉藤ひろしのシナリオ教室

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