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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『日本語の作文技術』

『日本語の作文技術』 本多勝一

文章の書き方の本は何十冊と読んできたが、それらが何の役にも立っていないというのは私の書いたものを見てもらえばすぐに分かるだろう。いざ文章を書こうとなると、学んだことを無視して、行き当たりばったりで書いてしまうからだ。それでまぁ、どうせ大したことも書いていないので、何とかなっている(ように自分では思っている)のだが、自分でも上手くいっていないなと思うときに、まずこの本のことを思い出す。そして、ここに書かれていた一つの原則を使って、文章を書き直してみたりする。

ずばり「大から小の原則」である。例えば、「赤い車」「錆の目立つ車」「叔父が売り飛ばした車」というのを一言で表現してみよう。これを何も考えずにつなげてみると「赤い錆の目立つ叔父が売り飛ばした車」となる。これ、物凄く読みにくいでしょう。赤いのは錆なのか車なのか、錆が目立つのは叔父なのか車なのか、一瞬見間違える。「赤い錆」という部分なんて特に、書き手の意図するものが誤って読み手に伝わる可能性が高い。ここで「大から小の原則」を用いる。「車」に係る修飾語は、大きい(長い)ものから並べていくのだ。ここでの例だと、「叔父が売り飛ばした錆の目立つ赤い車」とするわけだ。これだと誤解は少ない。ちなみにこの原則を破るとき「、(読点)」を使うと効果的に働く。

この「大から小の原則」は、話の展開というレベルでも適用できる。「料理が上手な人でね、会社の同僚なんだけど、今度結婚するの」という具合に話を聞かされたら、「料理が上手な人でね」の段階では話題が定まらずに話が宙ぶらりんになる。これを原則を用いて言い直す。話は、重要事項(大きいもの)から並べていくのだ。ここでの例なら、「今度結婚するの。会社の同僚で、料理が上手な人なの」という具合に。

そういう話がいっぱい載った本だ。私が手に持っている道具はこの原則一つだけだが。

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)