読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『僕だけがいない街』

僕だけがいない街 藤原竜也 有村架純 ほか

漫画家志望の青年・藤沼悟は時間が巻き戻る現象<リバイバル>を近頃何度も体験していた。悟はそこで事件や事故の原因を取り除くチャンスを与えられるのだ。ある日、北海道から上京してきた母親が、悟の自室で何者かに殺されてしまう。そこで起こった<リバイバル>によって悟は、小学生の頃に戻る。かつて同級生が誘拐殺人された事件に、母親の殺害が関係していると確信した悟は、未来を変えるために過去で奔走する……。

えーと、これは『バタフ……いや、なんでもない。

小学生の頃、同級生を殺した真犯人がいて、数十年後、母がそれに気づいたから殺されちゃった。だから、過去に戻って事件を防げば、母さんも殺されないでしょ、という理屈で物語が進んでいく。しかし、ラストでは子供の未来がどうのこうのと大層な話になってしまって感情的には全然ついて行けなかった。

だって犯人の男がのうのうと生き延びていて、最後に唐突な対決が始まるんだけど、辻褄合わないでしょ。過去の世界で主人公は犯人を突き止めている。犯人は、主人公を殺して自分は街を出て行くと告げ、主人公を橋の上から突き飛ばす。

真犯人が街から出て行ったとしても、それが未来を変えることには論理的には全くつながらないし、さらに、主人公が生きているということは、もっと早くに真犯人は捕まってないとおかしいわけでね。つまり、未来を変えるためには、過去で真犯人と決着をつけていないと成立しないでしょう。

もっといえば、主人公は同級生が殺されないように奮闘するんだけれども、真犯人を捕まえる方にはまったく力を注がないわけで、何を考えているのかさっぱり。何を考えているのかさっぱりといえば、母親が殺された現場から「勘違いされる」という理由で逃走を始めた主人公がまず意味不明だ。真犯人はどの事件でも周到に身代わりを用意する、っていうけど、主人公の自室で殺されただけでそれは「周到」ではないでしょう。なんか自ら犯人の身代わりを買って出たようなアホな行動にしか見えなかった。

あと、有村架純はそれこそ意味不明で、何のためのキャラクターなのかさっぱり分からんかった。現在に戻った主人公は過去で助けた同級生と結婚していて、有村架純が好きだったのに、有村架純は主人公のことを分からなくなっている、っていう「切なさ演出」が全然効いてないのは、ひとえに彼女のキャラクターが全く見えないことに起因していると思う。

石田ゆり子は綺麗で、しかし綺麗すぎる。これが母さんって、下手すりゃ藤原竜也の恋人じゃんか。さすがに綺麗すぎるんで、シナリオの中でも「若いですよね」とか有村に言わせて誤魔化してる。

で、最大の謎は、なんで主人公に<リバイバル>が起こるんだっていうことで、まぁしかし、それを書けといったらまたへたくそな長いいいわけが始まるんだろうなぁ、と思う。正直、面白くなかったですね。