京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう 有村架純 高良健吾 ほか

久々にドラマを見た。しかも恋愛ドラマ。『ロンバケ』以来か。あれも月9だったが、これも月9だ。あれからおよそ20年、トレンディーでバブリーなテイストは影を潜めて、主人公たちは冷たい世の中を貧しさに耐えながら生きていこうとする。が、恋愛ドラマだけあって、基本的にやっていることは一緒。

友人が盗んできたカバンから一通の手紙を見つけた青年が、これを持ち主の女性に返そうとすることで二人は出会ってしまい、しかし男には彼女がいて、女には別の男が言い寄ってきて……というお話。

とにかく都会人は冷たい。温かい田舎者の主人公たちはそれに傷つきながら健気に生きていき、そこに互いを求める気持ちがはぐくまれていく。都会人たちの冷血さがとってつけたようで、それ故にどこかサイコパス的だ。話が進むにつれて、彼らにもそれなりの事情があったり、優しい人間的な面を持っていることが明らかになるのだけれども、どこか納得がいかない。とりわけ、坂口健太郎が演ずる中條晴太は第一回から最終回(直前)まで徹頭徹尾、常人には理解の及ばぬサイコパスで、かつ物語上では空気という希有な役回りであった。

ところどころ舌を巻くような巧さがあって、唸った。一番良かったのは、序盤、主人公の男と彼女がお茶するシーン。ちょっと高級なカフェ? レストラン? 男は貧乏で、女は金持ち。男は仕事で先輩のミスをかぶらされ、職場に20万の借りを作っている。それを彼女が勝手に立て替えてくれていた。余計なことをしたかと気まずそうな彼女に、男は礼を言う。そして、お会計。店員がテーブルまでやってくる。私が払うという彼女から領収書を取って、男はここは自分が払うという。しかしお値段を見てびっくり。全財産を出しても数十円足りない。男は恥を忍んで、彼女に小銭を貸して欲しいと頼む。ところが、彼女の財布には万札しか入っていないのだった――。これ、あるあるなの? こうやって主人公を情けなさで徹底的に追い込んでおくと、報われたときの「良かったね感」が半端ねえものになるわけです。

それにしても、小さな頃に見ていた月9は、遠い大人の世界の話だと思っていたのに、いまや年下の連中ばかりで、不思議な感じだ。全員どこか子供に見えてしまう。深刻そうな顔してるけど、お前、このあいだ学校でアホな話してたやん、みたいな気恥ずかしさを覚えてしまう。大人になれないというのはこういうことを言うんだろうか。