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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『ザ・ストーリー』 Chapter2

『ザ・ストーリー』 Chapter2 ロバート・マッキー

目次:

INTRODUCTION 型破り脚本術
Chapter 1 ストーリーは「生きる」こと
Chapter 2 構成のスペクトラム
Chapter 3 物語世界を創造する
Chapter 4 ジャンルと決まりごと
Chapter 5 構成とキャラクター
Chapter 6 思考と感情のデザイン
Chapter 7 ストーリーの本質
Chapter 8 インサイティング・インシデント
Chapter 9 困難の連鎖
Chapter10 シーンをデザインする
Chapter11 シーンの分析
Chapter12 コンポジション
Chapter13 危機、クライマックス、解決
Chapter14 敵対者の原則
Chapter15 状況説明
Chapter16 問題と解決策
Chapter17 登場人物
Chapter18 脚本の実際
Chapter19 プロの流儀

構成のスペクトラム

人生は、その人の内面、人間関係、社会、環境、という多層構造によって成り立っている。映画では、様々なことが起こる人生の物語を2時間にまとめ、切り捨てた全てのことを何らかの方法で伝える必要がある。作曲家が音を扱うように、脚本家は「出来事」を扱って脚本を作り上げる。出来事は、人が引き起こすもの、あるいは、人の影響を及ぼすものを指す。登場人物の物語から出来事を選び出し、感情を刺激し、人生に対する考え方を表現できるように、それらを戦略的につなぐ(=「構成」する)のだ。

出来事とは、変化が起こること、ということもできる。ストーリーには意味のある出来事、つまり意味のある変化が必要だ。「変化」に意味を持たせるには、主人公に変化をもたらさなければならない。変化は「価値」という観点から表現され、体験され、葛藤の後に実現される。ここで「価値」(ストーリー・バリュー)とは、人間の体験が備える普遍的性質のこと。ポジティブ/ネガティブの対をなし、一方から一方へシフトする可能性を持っている。1つのシーンで、主人公の人生にとって何らかの意味を持つものが葛藤によって少なくとも1つは変化する。つまり、価値がポジ/ネガ間を行き来するのだ。変化のないシーンは「説明」のためにあるだけなので、削ってしまおう。

構成の単位はビート、シーン、シークエンス、幕、の順に大きくなる。ビートは構成の最小単位で、アクションとリアクションからなる。ビートが集まるとシーンになり、シーンが集まるとシークエンスになり、シークエンスが集まると、幕になる。それぞれにクライマックスがあり、フラクタルな構造になっているが、大きな構成要素ほど、それの持つクライマックスのインパクトは大きくなる。特に最終幕のクライマックスをストーリー・クライマックスと呼び、ここでは絶対的な不可逆的変化が生じる。ストーリーの始めと終わりを見比べると、そこにアーク(弧)が描かれていなければならない。脚本家はひらめきに何度も手を加え、直感の命じるままに作られた映画であるかのように仕上げる。また、登場人物の目に見える動きからその内面を理解するよう、観客を導かなければならない。

プロットに必要なのは、出来事を選択し、それを上手く配列すること。アークプロットを頂点に、ミニプロット、アンチプロットを左右に配した、三角形(ストーリー・トライアングル)をイメージしよう。あらゆる映画はこの三角形のどこかに収まる。

アークプロットとは、自分の欲求を満たすために、主に外的葛藤と戦う積極的な主人公を中心に展開するストーリーのこと。連続する時間の中で矛盾のない因果関係でつながりあった、架空の現実が描かれ、絶対的な元に戻せない変化が生じる、明確な結末に向かってストーリーが進む。これはストーリーのクラシカルデザインである。アークプロットを基本として、小型化したものがミニプロット。伝統的形式/原則を否定するのがアンチプロットだ。

記憶(過去)、期待(未来)を語るとき、人はクラシカルデザインを用いる。したがって、トライアングルの上部ほど観客が多く、下部ほど人が少なくなる。脚本家も、まずはクラシカルデザインをマスターすることを目指そう。知識が生きた技巧になるまで、脚本家は技術を磨かなければならない。他人との違いを求めて、ミニプロットやアンチストラクチャーに走らないこと。自分の信じるところを書くことが重要だ。次回は「Chapter 3 物語世界を創造する」。

ザ・ストーリー

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