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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『ザ・ストーリー』 Chapter6

脚本術・映画学・物語論

『ザ・ストーリー』 Chapter6 ロバート・マッキー

目次:

INTRODUCTION 型破り脚本術
Chapter 2 構成のスペクトラム
Chapter 3 物語世界を創造する
Chapter 4 ジャンルと決まりごと
Chapter 5 構成とキャラクター
Chapter 6 思考と感情のデザイン
Chapter 7 ストーリーの本質
Chapter 8 インサイティング・インシデント
Chapter 9 困難の連鎖
Chapter10 シーンをデザインする
Chapter11 シーンの分析
Chapter12 コンポジション
Chapter13 危機、クライマックス、解決
Chapter14 敵対者の原則
Chapter15 状況説明
Chapter16 問題と解決策
Chapter17 登場人物
Chapter18 脚本の実際
Chapter19 プロの流儀

思考と感情のデザイン

人間は思考を働かせて感情体験に備え、その感情体験が新しいとらえ方を生み、それがさらに新しい感情体験につながる。両者は互いに影響し合うが、同時には起こらず、1つずつ段階を追って進む。このように、人生において意味(思考)と感情は切り離されているが、芸術は両者を結びつける。つまり、人生で体験は後から意味づけられる。芸術はいま体験した瞬間に意味を持つ。ストーリーは意味ある感情体験を与えてくれるのだ。この現象を美的感情と呼ぶ。

創作は前提によって始まり、コントローリング・アイデアに至る。前提は「もし~ならどうなるか」という問い(魔法のif)になることが多い。もちろん、「もし~」以外からも前提は生まれる。前提は脚本家の中で生まれようとしているビジョンや信念を呼び起こすものである。ストーリーを書くきっかけとなったもの(前提)はストーリーの中に残しておく必要はない。書き続け、新しいひらめきを取り入れることを重視する。

ストーリーでは、考えを伝えるだけでなく、それを証明する必要がある。そのストーリーが人生の暗喩であると、観客が信じ納得するように仕向けるのだ。ストーリーはどんな内容であれ、それの持つ意味が、ストーリー・クライマックスで、行動によって明らかにされなくてはならない。ストーリーに説明は必要ない。セリフは欲求を満たそうとする登場人物の自然な言葉であって、説明であってはいけない。

コントローリング・アイデアは、人生がなぜどのように変化したを1文で表したもので、価値と原因を明らかにする。これによって、ストーリーの中心的考えを明確にし、ストーリーに採用するものと削除するものを決める基準をはっきりとさせる。ここで、価値とは、ストーリーの最後の行動で、世界や人生にもたらされる最重要の価値を意味する。また、原因は、主人公の人生が、なぜ最後にそのような状態になったのか、という理由のことである。

主要な価値がポジティブな状態とネガティブな状態を行き来することで、ストーリーは進展する。シーンごと、シークエンスごとにネガポジを行き来して、クライマックスでどちらかが勝利し、それがコントローリング・アイデアとなるのだ。このとき、アイデアと逆アイデア(対立する主張)のバランスを取らなければ、コントローリング・アイデアに説得力が生まれない。自分の考えに囚われず、人生にどっぷりとつかり、違う立場から物事を見てみよう。

コントローリング・アイデアがネガかポジかでストーリーは3つに分類される。ポジの場合、理想的・楽観主義的。ネガの場合は、現実的で悲観的。両者が混ざると、皮肉なコントローリング・アイデアが生まれる。これは、現代的な価値に執着すると破滅するが、それを改めると救済される。望みを捨てて負けることで「勝つ」といった内容になる。皮肉な結末は、書くのが難しいが、大きな評価を得られる。コントローリング・アイデアは、真実だろうか。私はそれを信じられるだろうか。と自分に問いかけよう。

次は「Chapter 7 ストーリーの本質

ザ・ストーリー

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