京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

夏の終わり

家の近所に誰もが見落としている絶好の場所があって、毎年そこで打ち上げ花火を見ている。ここ数年、この場所の存在に気付いた人がチラホラと現れるようになったのだが、今年はまた誰も来なくなった。

打ち上がり、花開き、一瞬で消えてしまう、打ち上げ花火。一体これは誰が考えたものなんだろう。きっと打ち上げ花火が出来たばかりの頃は、ドッカーンと夜空に広がる火花にみんな興奮したんだろうな。いまもそうなんだろうけれど、見ている人たちの多くは、その火花が消えていく方に心を動かされるんじゃないだろうか。これを夏の風物詩にして、その後にやってくる「夏の終わり」に掛けた、という人間の感性には驚嘆する。

家の近所から見える花火は、有名ななんとか花火大会のものと比べれば地味だけれど、それ故に、満開の桜が散る美しさとは別の、人知れず咲く野の花がふっと散ってしまうような儚い美しさを湛えていると思う。