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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『ルドルフとイッパイアッテナ』

映画・ドラマ

『ルドルフとイッパイアッテナ』 井上真央 鈴木亮平 ほか

見知らぬ街に来てしまった飼い猫のルドルフが、その街のボスである野良猫イッパイアッテナと出会い、飼い主のところへ戻ろうとするまでを描く夏の子供映画。

タイトルは知ってる。猫の話なのも知ってる。私、ドンピシャ世代だから。でも、どんな話かは知らなかった。観に行くつもりはなかったのだが、映画と芝居の誘いは断らない主義なので。

さて、小学生のリエちゃんに飼われている猫のルドルフが主人公。ルドルフは家で飼われており、外の世界を知らない。世間知らずの、強がりで弱虫な、子供の猫だ。まさに観客である子供たち(私もだが)を象徴する存在である。いつも家に置いてけぼりにされるルドルフだったが、ある日、リエちゃんの後を追いかけて家の外に出ることに成功する。ところが、ある偶然が重なって、岐阜から東京のとある街まで来てしまう。

そこで出会ったのが、イッパイアッテナという野良猫。近所では名の知れたボス猫で、強くたくましく、しかも人間の文字を読むことが出来る。ルドルフは彼から、野良猫としての生き方をたたき込まれていく。しかし実は、イッパイアッテナも実は飼い猫だった過去があり……と話が続く。

夏のキッズムービーなんで、難しいことはなし。ルドルフが家に帰りたい、というのを仲間たちが助けてやるのが大筋。そこで生まれる絆、そして別れ。計画成功の寸前で訪れるイッパイアッテナのピンチ。仲間の命か、それとも家に帰れる一回限りのチャンスか、という二者択一に揺れる主人公。ルドルフは成長し、決断を下す。子供は、これで大いに泣けば良いと思う。

私も色々グッときたけど、涙までは出なかったなぁ。しかも、全然泣かせどころじゃないところでグッときたりして。たとえば、門が半開きになっていて、そこからルドルフが外の世界に出て行くところ、つまりこれから物語が始まってしまうシーンとか。なんで、グッときたのか自分でもさっぱり分からないんだが。

児童文学らしく、勉強って大事だよ、諦めたらそこで試合終了ですよ、というどストレートなメッセージ。それから、人間の都合で苦労する動物たちの悲哀みたいなのも描かれているね。苦労して飼い主のところに戻ったのに、飼い主は新しい猫を飼っていて、という予想済みのエピソードを子供たちはどう受け取るんだろう。

それにしても酷いのが、イッパイアッテナの飼い主。奴はイッパイアッテナを放って、アメリカに行ってしまう。向こうで事業を成功させ、元の家を豪邸に改装して、何食わぬ顔で戻ってくるんだけど、成功しなかったときはどうするつもりだったんだろうね。結局、人間ってクズだね、というのがメッセージなのかも知れないな。