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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

友達がいた

昔、こんな私にも友達がいた。不思議な繋がりだった。年上ばかり。優秀な人ばかり。そんな中に私みたいなのがいた。随分仲良くしてもらった。私のことを友人だと思ってくれているな、と信じられた。安心感があった。私の人生でも数少ない楽しいといえる瞬間だった。ただ、ずっと自分を卑屈に思っていて寂しくもあった。いつか、堂々とこの人たちの友達になりたい、と思っていた。

時は過ぎて、みんな大人になっていった。私だけが取り残されてしまった。何度も声を掛けてくれていたけれど、私は恥ずかしくなって逃げ出した。優秀じゃなくても、こんなクズでも、みんなを信じて付き合っていれば良かった。だって、優秀じゃないしクズだったのに、みんなは私を受け入れてくれていたのだから。こうやって私は大切な友達を失った。

街を歩く。誰のものでもない、私だけの街。あれから何も変わらない。いつもこの道を歩いた。あの喫茶店で下らない話を何度もした。あのうどん屋で、あのたこ焼き屋で、あのハンバーガーショップで、あの文房具屋で、あの本屋で、あの商店街を歩いて……ここを見ても、あそこを見ても、そこに楽しかった瞬間が刻まれている。それで居たたまれなくなる。そう、ここは私だけの街だ。もう誰もいない、私だけの。