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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる』

『小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる』 小杉拓也

小学校の頃から算数が苦手だった。生まれつき数字が嫌いだった、とも言える。そんな私が、小学三年生から進学塾に行こうとかいう話になって(私が行きたいといった、ということに今はなっているが)入塾試験を受けるためだったのだろうか、母と算数の勉強をしたのを覚えている。足し算は何とか出来るのに、二桁以上になると引き算が出来ない、というので母が我が子の想像以上の頭の悪さに驚愕していたのを、昨日のことのように思い出す。

塾では当然、学校とは比べものにならないほど「高度」な算数の問題が出されるので、説明を聞いてもちんぷんかんぷん。宿題をやってこい、と問題を指定されても、手も足も出ない。といって、白いノートのまま授業に出れば、宿題を忘れた・サボったといわれてしまうから、ノートにテキストのページ数と問題番号だけを書いて出席していた。先生に当てられても答えられないし、答えられなきゃ怒られるし恥ずかしいし、算数は恐怖以外の何物でも無かった。

当然、中学校でも数学は苦手だった。入学して初めての中間テストはマイナスの付いた整数の四則計算だったはずで、ここで既に私は躓いてしまったのだから。そういえば高校に入って一発目の数学の試験も赤点を取った気がする。とにかく、算数・数学が大嫌いなのだ。

それだけに算数・数学にはあこがれがある。何より、算数・数学の出来る奴は概して頭の良い奴が多い。俺は文系だから数学は……という奴はバカで、文系でも理系以上に数学の出来る奴はゴロゴロいるのである。頭が良くなりたい、という怨念のようなものに取り憑かれている私は、当然、数学が出来るようになりたい。一体、どうすれば良いのだろう。

多分、秘密は算数にある、と長らく思っていた。小学生の頃、劣等生の私を尻目に、スラスラと算数の問題を解いていた彼らは、そのまま有名私立に受かり、有名大へとストレートで進み、いまや殿上人である。まずは算数が出来なければ、もう今更とはいえ、次に進むことが出来ないのではないか。

そこで本書である。かなり前置きが長くなったが、本書を読んで、小学生時代に算数が出来た連中が優秀だった理由は、何となく分かったような気がする。算数が苦手な人間(つまり私)は、数字を操作することの意味が分からないのだ。それを具体的にイメージさせよう、というのが大まかな内容である。

たとえば、数字の加除を行う時に、繰り上げと繰り下げが出てくる。これを1円玉、10円玉、100円玉の両替で説明すると、イメージが湧く。それで計算の意味が分かってくる、という具合だ。

一辺が1cmの正方形の面積が1㎠(という定義)だから、長方形の面積がたて×よこ、で求められるというのも、当然の話ながら、見落としていた理屈だった。

いくら算数が苦手だったとはいえ、さすがに本書に書かれている問題に解けないものは無かった。仮にも塾に通っていたため、ここで紹介されている算数のテクニックも、知識としては実は全て知っているものだった。しかし、これだけの内容を、あの今よりもアホだった小学生の頃に使いこなすのはとうてい不可能だっただろう。その点、みんなはやはり賢かったのだ、と思う。

恥ずかしかったのは、小数の割り算を行う時に、どっちをどっちで割れば良いのか分からなくなる生徒が出てくるから、その時は、整数の割り算に一度置き換えてみて、割る数と割られる数を確認してから、計算を実行するように教えてあげましょう、という話。私はそんな生徒の気持ちが痛いほど分かるし、それを誰にも教えてもらえずに、自分でその方法を編み出したのだった。そして、今でも偶にそうやって確認しないと計算できないのだから、本当に数字って嫌いだ。

何にしても、小学校卒業程度の算数能力はあるといっていいのだろう。これから中学入試の算数問題を少しずつやっていこうと思う。

小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる (BERET SCIENCE)

小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる (BERET SCIENCE)