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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

いつ死ぬか?

60歳くらいでポックリと死にたいなぁ、と上司が言った。いつもお世話になっている人で、優しい人だ。私はその人のことが嫌いではないのだけれど、心の中では「いま死んでも良いんじゃないっすか?」と思っていた。「逆にあと15年間生きていたい理由なんてあるんすか?」とも思った。我ながら酷い奴だと思う。

人の人生をとやかく言うのはまったく、私の教養のなさというか育ちの悪さというか、品性を疑われることだけれども、話を聞いているだけでもその人の人生には魅力を感じられない。働いて、帰って、テレビを見て、飯を食って寝るだけ。稼ぎは知れている。病気のツレがいて、結婚できずに内縁状態。趣味という趣味もなく、休日にゲーセンで暇をつぶしたりするんだとか。目標も希望も変化もなく、ただ生命維持のためにストレスフルな日常を繰り返す。60歳でポックリなんて、それこそ「仕事が終わって第二の人生」すらない。

私の周りにはこんな人がいっぱい。いや、みんなきっとそんなものなのだろう。私も例外ではない、というよりむしろ典型である。面倒を見てやる彼女がいない分、生きている意味は私の方が希薄かも知れない。そう遠くないうちに、あるいは既に誰かが私を見て思うことだろう――いま死んでも良いんじゃないっすか?