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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

ナチュラル志向

私はバカだから、自分の思っていることや感じていることをズバリ表現する言葉が書けない。気持ちとピタリと一致する言葉を見つけられない。それでいつも同じようなことで悩んでいて、いつも同じような言葉でしかそれを言うことができない。こねくり回したような、まどろっこしい、あるいはただ拙いだけの文章を書くのに、えらく時間と体力を使う。煩悶する。でも、自然な言葉を使いたいと思う。

昔は、気取った言葉や気の利いた(と私の思う)言葉を積極的に使っていた。それで自分の胸のつかえを取り除いた気になっていた。そんな文章は読むのが恥ずかしいうえに、結局、何も言っていない、何も言えていないのに等しい。そういうことに気付いてから、あまり言葉にはこだわらなくなった。少なくとも、あとで読んだときに自分だけは分かるような、なるべく読んで恥ずかしくないような言葉で文章は書きたいと思う。

有名人が有名人をヨイショする文章を読んで、そんなことを思った(思い出した)。格好ばかりで中身が空っぽの文章は寒い。本当に思ったこと、本当に感じたことを、本当に伝えたいという気持ちがなければ、どんなに綺麗な言葉を使っても、意味のない単語の羅列にしかならない。

しかし、有名人がそれをやると成立してしまうのが厄介なところ。元から意味などないのに、それを読んだ人は勝手に意味を作り出す。奴らは取るに足らないものを大げさに取り上げそこに価値を付けて売り抜ける。

世の中は良い悪いではなく、好き嫌いで動いているから、そんな幻の価値を与えられた無意味なものを、好きだという人がいても何の問題もないけれど(いや彼らにとっては幻ではなく実際に価値あるものとして映るのかも知れないけれど)、私は奴らは詐欺師だと思うし、そういうものに騙されて自分が本当に好きなものを見失うのは絶対に嫌だと思う。