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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

思い出を生き甲斐にすること

私が映画やドラマを見て感動するのは、それが物事の違う一面を見せてくれたり、全く新たな世界を教えてくれるから、ではきっとない。私に思い出させてくれるからだ。寂しかったあの頃や、楽しかったあのこと、優しかったあの人。そういう人や物に囲まれて生きていた自分を、思い出させてくれるからだ。

遠い過去のことだ。すっかり美化され、もはやあったのかなかったのかも曖昧になってしまった思い出。しかし、そんな優しくて綺麗で穏やかな瞬間を生きた確信が、自分の胸のどこかにある。それを呼び起こしてくれるのが、映画だ。

映画やドラマが思い出に例えられるように、思い出は映像の形を取って脳内を駆け巡る。荒み、凝り固まり、諦めようとする自分を、あの頃に連れて行ってくれる。帰る場所があるから、また外に出て行ける。それが映画だ。

だから私が感動するポイントはいつも同じだし、今後も変わらないだろう。思い出が生き甲斐だ、というのも変な話だ。しかし、今また優しくて綺麗で穏やかな瞬間を生きることができれば、この瞬間もまた、将来帰る場所になるのだろう。

そうやって、もう一度、美しく生きるチャンスをくれる。それが映画なのだろう。