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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

勘……かな

科捜研の女』って、無表情の沢口靖子と何をやっても内藤剛志内藤剛志が毎回同じパターンで事件を解決する、人間が成長しない粗製濫造サスペンスドラマに堕ちてしまったけれど、昔はコメディテイストで、京都もたっぷり使っていて、結構好きだった。

そのシリーズ第一の最終回。詳しい話は忘れたけれども、主人公である科捜研の女の、キャラクターに関わる事件だったはずだ。科捜研の女は、科学を頼りに事件を解決する。科学は嘘をつかないという信念が、科学しか信じられないというところにまで行ってしまうんじゃないか、というのがテーマだ。その象徴として、その回の犯人が設定される。つまり、人間なんて信じられない、という主張をする犯人である。そして犯人は、科捜研の女に対して、お前は「正義」の側に立っているが、私と同類の人間なんだ、と言い放つ。科捜研の女は、自分は人間が好きで、お前とは違うと言い返し、犯人は科捜研の女の心の闇を指摘しつつ、不敵な笑みを浮かべて自殺してしまう(というような展開だった気がする)。

そしてラスト。小林稔侍演ずる年配刑事が退職する。科捜研の女は、非科学的な古くさいやり方にこだわる年配刑事と、ことあるごとに対立してきた。しかし彼女は、職場を去る年配刑事を見送りに来る。年配刑事は、科捜研の女にいう。「よく犯人が分かったな」。これに彼女が返事をする「勘……かな」と。驚いた顔をした後、敬礼をして去って行く年配刑事。このときの小林稔侍の演技は良い。小林稔侍でグッときたのは後にも先にもこの一度だけだ。どれだけ下手な役者でも、バッチリはまるときというのはあるものなのだと思う。

脚本も、ベタだけど上手いな、と思う。完全燃焼させようとしたからこそ書けた内容で、これだけ続編が出るとなると、そりゃ面白いホンにならなくて当然だよな、と思う。逆に言えば、主人公の成長をストップさせてしまえば、ドラマというのはいくらでも続きが書けるということだ。