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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

アイデアが固まる

イデアが固まる、というより、固まってしまう、と言った方がニュアンスが近い。何か物語を作ろうと思ったとき、ふっと物語の核になるようなものが浮かぶ。凝結核が水分をまとって後は雲になるように、その核に要素がくっついて、物語になる。いや、そんな簡単な話ならばこちらも大歓迎なのだが、そういうわけにはいかない。

結核でいえば、微細な水滴になったまでのことで、雲にはほど遠いというのがまず致命的。そして、いま問題にしたいのは、アイデアが固まってしまうということ。何かを思いついてしまったら、そこから離れられなくなってしまうということだ。

いま5分程度の会話劇を書こうとしている。会話劇と聞いて思いついたのは昨年観た『セトウツミ』。要はボケとツッコミ。漫才だな、と思ったわけだ。

映画なら2時間という全体があって、その中の5分だ。2時間の内容によって5分が規定され、逆に5分の積み重ねが2時間の内容を作り出す。しかし、5分の会話劇と言われたとき、5分が全体となる。このとき戦略としては二つあるだろう。

一つは、漫才のように5分を5分で完結させてしまうという方法。もう一つは、2時間の内容を5分に落とし込む方法。言い換えれば、映らない時間を5分で扱うという方法だ。5分のうちに2時間分の話の背景を感じさせる、といっても良いか。もちろん、これは両極の話であって、実際はその中間を行ったり来たりするものだろう。

さて、私は漫才だ、と思った。その上で、いつもと同じモチーフが頭をよぎる。そうなると、もう他のことが思い浮かばなくなってしまう。アイデアは陳腐だ。頭のてっぺんにあるアイデアクリシェなのだから当然だ。

でも、もうこれしかない。むしろ、今回は早めに決まったと喜ぶべきか。この間は30枚書いた。今回は2枚半。変な余裕をかましているが、半分は諦観である。