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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

タイムパラドックスものは難しい

雑記

そういえば前に見ていると言った『リテイク』が最終回だった訳なんだけれど、期待も金も掛かっていないせいか、拍子抜けするような終わり方だった。実は一番身近にいた成海璃子が、保護の対象である未来人で、筒井道隆を救うために未来からやってきた彼の娘だった、というようなオチなんだけど、タイムパラドックスというより設定に矛盾が起こっていてドラマが破綻している。

成海璃子のいた未来の世界は悲しいものだった。筒井道隆が列車事故で死亡し、女手一つで子を育てる母は心労で寿命を短くした。気がつけば孤独。成海璃子は過去に戻って(リテイクして)筒井道隆の事故死を未然に防ごうと思い立つ。ところが、事故死は防げたものの、それによって筒井道隆が痴漢えん罪に巻き込まれてしまい、結局両親は別れる。母が女手一つで子を育てるというシチュエーションには変化が起こらなかったのだ。リテイクはさらなる悲劇を生み出す、という教訓を得た彼女は、法務省に勤める野心あふれる政治家志望の木下ほうかに近づき、未来人の保護を進言し、その結果、筒井道隆成海璃子がコンビを組んで未来人を探すことになった、という物語の発端が明かされる。

リテイクによって人が死ぬという悲劇を目の当たりにした成海璃子が、リテイクの根本であるタイムマシンの開発者を説得しようとするのが最終回。しかし死にかける。それを助ける筒井道隆。二人は初めて親子として対面し、筒井はそこで前述のあらすじを聞かされる。そして筒井道隆は、リテイクをこう結論づける。いまある現在の世界は、未来からのリテイクが既に織り込まれている、と。

要するに、ドラえもんのタイムマシンと同じで、世界の時間軸は一本しかない。未来から過去を操作するために現在にやってくる人間がいる、ということも含めて現在なんだ、というわけだ。そう結論を出すのは結構なのだが、こうなると成海璃子が現在にやってきた動機があやふやになる。前から見ていて思ったのだが、時間の扱い方がもの凄く雑なのだ。

そしてラスト。タイムマシン開発者が技術提供のために、過去の自分の元へとタイムスリップしてくる、という現場を二人が押さえに行き、変えられないからこそ現在が尊いみたいな説教をしたところで物語が終わる。これはもう、このドラマをそのままひっくり返してしまうような矛盾だ。技術提供するならもっと過去に飛べよ、というツッコミはさておくにしても、お前ら、いまこいつを取り押さえたら、タイムマシンが開発されなくなる訳だから、成海璃子の存在が消し飛ぶはずじゃないか。ん? いや、それも織り込み済みの現在と言うことなのか。だとしたらもう、筒井と成海のコンビはことごとく意味の無いことをしてきた、ということになる。

一体、このドラマは何だったんだろう、と思う。ところどころ、悪くないなぁと思っていたんだが。