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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

酔うと饒舌になる

私は母に似て下戸でほとんど酒が飲めないが、父と弟はザルだ。そして、酒を飲むとえらく饒舌になるところまでそっくりである。祖母が言うには、父から話を聞き出すときは、家で酒を飲ませたんだとか。すると聞いてもいないことをペラペラと喋り出す。普段は比較的寡黙だから、そこで秘めていることが次々と出てくるのだ。

私は酔っ払いは嫌いだ。長々と話をされるのも、分かったようなことを言われるのも嫌いなうえ、酔っぱらって気分良く適当なことを言われたんじゃたまったものじゃない。というわけで、父親にせよ弟にせよ、酔っぱらっているときには遭遇しないようにしている。

それがまぁ、久しぶりに酔った父に捕まってしまい、あれやこれやと話を聞かされた。会社の上層部の組織が思惑通りに一新されて満足しているらしかった。それを踏まえて、自分がそれなりに会社で影響力のあるポジションにいて、みんなからそれなりに敬意を受けている、ということを例えば休日出勤した今日のエピソードなんかを交えて、私にアピールしてくるわけ。

定年間近にして幼いことを言っているなぁと思うし、みんな気を遣っているだけで、そんな風に思っているのはあんただけじゃないのかと思うんだけど、あぁそうかそうか、それは凄いなぁと相槌を打って話を聞いていた。

でも同時に、そんなことの一つも言いたくなるんだろうなぁ、とも私は思っていた。自分の適性には全く合わない仕事に就いて、そこで長い間冷や飯を食わされ、元々無いやる気をさらに失い、って私と一緒じゃないか。可哀想とか不憫というのとは少し違うし、私は父の仕事のことなんてほとんど分かっていないけれど、どこか同情? 共感? できるような気がした。