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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『カルテット』

『カルテット』 松たか子 ほか

全員片思いのラブサスペンス、というちょっと恥ずかしい触れ込みで始まった本作。第一話を見て、おっ、これ新境地だなと思ったんだけれど、第二話でウンザリして、それから数話低空飛行した後に、あっと思ったり、えっと思ったりしたんだけど、結局、はぁ? で終わってしまうというよく分からない話だった。一話ずつザックリ振り返ると、こんな感じだ。

第一話。偶然出会った真紀・すずめ・家森・別府の弦楽器奏者4人が、カルテットを組み、別府の別荘で共同生活を送ろうという話になった。でも、実はそれは偶然ではなかった。真紀の夫が失踪し、殺人を疑った義母が、すずめに真紀の監視を依頼していたのだ。

第二話。別府が真紀に出会ったのも偶然ではなかった。別府は真紀に一目惚れしており、後を付けて声を掛けようとしたのだ。夫が失踪したのを好機とみた別府が真紀に告白するが玉砕。別府は会社で親しくしている女と一発カマすが、女は婚活に成功して別の男と結婚を決める。

第三話。すずめは幼少時代、父のインチキ話に利用されてテレビに出ていたことがある。このことがバレたらみんなに嫌われるとビクビクしていた。その父が危篤だと知らせを受けるが会うことを躊躇う。親子間の確執を察した真紀がすずめを慰め、結局会わずに帰ることにする。この一件で、すずめは真紀を信じることにする。

第四話。家森には嫁と子供がいた。子供恋しさに、やり直そっかな、とか思ったけどやっぱり無理だった。子供と離ればなれになるのが悲しくて、理屈っぽくて口うるさい家森が泣く。

第五話。カルテットがちょっと大きめの仕事を貰えたけど、夢とは正反対の汚れ仕事だった。それでもやるぞと心を決めたのに、それすら無くなった。すずめが真紀の監視をしていることがバレて、気まずくなって家を飛び出したら、失踪した真紀の旦那に会った。

第六話。真紀と真紀の旦那がどうすれ違って、何を思って旦那が失踪したか、それぞれが別々に別々の場所で胸の内を明かし、それがシンクロするという不思議な構成で、その理由と経緯が明らかになる。ここで旦那の冗談を真に受けた家森が、強請りを行うために真紀に会いに行ったことが判明する。

第七話。サイコパス役の吉岡里帆を誤って殺してしまった、と勘違いした真紀の夫を、真紀がかばおうとして、互いを思い合う気持ちを確認したけれど、夫婦としてはやっていけないということで結論づける。吉岡里帆は死んでなかったけど、夫は失踪中にやったコンビニ強盗について自首することを決める。

第八話。すずめは別府が好きだったけれど、別府は真紀が好きで、二人をくっつけちゃおうと思う。でもやっぱスゲー辛いっす、とか思っていたら、真紀が偽名だと判明し、こいつ一体誰? ということになる。

第九話。真紀は真紀じゃなかった。継父の暴力に耐えかね家を捨て、名を捨てて、他人から戸籍を買っていたのだった。ところが、真紀が家出をした直後、継父が死亡しているという事実が判明。再び真紀に殺人容疑が掛かる。真紀は信じて欲しいと言い残して、カルテットを去る。

第十話。あれから一年経ったけど、真紀が帰ってこない。雑誌の写真を頼りに居場所を割り出して会いに行く。すんなり真紀がカルテットに戻る。疑惑の人であることを利用して、大ホールでコンサートを開く。別荘を返却して、ワゴンカーで遠征に出かけるカルテットであった――。

一応サスペンスとして話が進行していき、恋愛で風味付けしつつ、みんな30過ぎてるけどどうやって夢と折り合いを付けるんだというテーマでまとめてみた、っていうことで良いのか?

最終話。真紀がカルテットにすぐに戻ってこなかった理由は何? で、迎えに行ったらあっさり帰ってきたのはなんで? 「全員片思い」はどこにいったの? 結局、別荘を売りに出しちゃって、この後どうすんの? 家森さんの板前修業はどうなんの? ――という具合に、このドラマ、常に「次はどうなる」と思わせるんだけど、その全てが結局どうもならず、会話のネタになるだけ。ずっとその繰り返しで、そのまま終わってしまった。

あと、登場人物が相変わらず皆一様に気の利いた表現をするのね。何かを何かに譬えたり、手垢の付いた表現を逆さまにしてみたり。それはもう好き好きで、私は前から言うように苦手だ。そうやって全員が同じようにウィットに富んだことを言うのは、セリフに根っこが無いっていうことじゃない? Aさんだからこう言う、Bさんだからこう言う、っていうんじゃなくて、誰でも言えることをそのとき言える人が言っているだけに聞こえてしまう。もっと直接的にいえば、全てが一人の発言なのだ。それは取りも直さず、脚本家その人である。

ケラリーノ・サンドロヴィッチがドラマを久々に見たといって本作を激賞していたけれど、中でもお気に入りは第二話なんだとか。私は第二話が大嫌いで、本来ならあそこで見るのを止めていたくらいだ。私、ケラは(今のところ)好きなんだけど、感じ方は本当に人それぞれなんだなぁと思うのであった。

カルテット Blu-ray BOX

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