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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

ひとりのはじまり

CMでキリンジが流れてる。みんな『エイリアンズ』を推すけど、私は『雨は毛布のように』で好きになったクチだ。あれは中学三年生の頃だったか、いい加減本腰入れて勉強しないと高校に行けないぞと焦った私は、PCを封印することにした。

思い出しても悲しいけれど、あの頃から私は、やることといったらPCだったんだな。だからPCを封じてしまえば、他にやることが無くて、自然と勉強する時間も増えたのだろう。試験2週間前からPC禁止を自ら課すことはよくあったけれど、高校受験前は半年近くPCを封印していた気がする(後に浪人中も同じことをするのだが)。

パソコンを封印する代わりに、ラジオを聞くようになった。一番入りの良かったFM802だ。ヘビーローテーションを中心に、同じような曲が何度も流れるから、ずっと聞いていると飽きたりもしたが、AMを聞く環境が無くて仕方なしに聞いていたところがある。そこでキリンジに出会った。

最初聞いたとき、うわぁ好きだ、と思った。でも、アーティスト名は聞き逃したし、歌詞をメモしようにも全然聞き取れない。どんどん曲は流れていって、とうとう終わってしまう。それからはこの曲にもう一度出会うために、ラジオを聞き続けるわけです。素直にPCでもやっていた方がよかったかも知れないな。とはいえ、当時はプログラム検索とか出来なかったから、頼れるのは自分の耳だけだったんだよね。

結局、もう一度だけ偶然、また曲の途中から聞くことが出来たけれど、何も聞き取れずに終わってしまった。それから何年後か分からないが、私が陰鬱な高校生活を送っていたある日のこと、ラジオで聞き覚えのある歌声に出会った。アーティスト名もバッチリ聞こえた。検索して、ディスコグラフィを見て、ようやく再会を果たしたのである。それから半年くらい、いやそれ以上か、この曲だけを聴き続けたような記憶がある。このときから頭がおかしかったんだね。

浪人した頃はキリンジばかり聞いていた。ちょうどその頃聞いていた「オトガイのオトデジ」でもキリンジは頻繁に取り上げられていた。冬から春にかけてキリンジを聞くと孤独の始まりが予感され、感傷的になる……のはきっと私だけだろうな。

最近、桐谷美玲コンタクトレンズのCMで流れている曲、一瞬キリンジかと思ったけれど、そういえばキリンジ解散してるんだった。私はこういう、力強く歌わない、声も楽器の一つみたいな歌い方をするアーティストは、キリンジも含めて基本的には嫌いなんだけど、声より先にまず曲に惹かれてしまう。永野亮の「邂逅」という曲らしい。

この最後の一文をメモするためだけに、これだけの無駄話を、私は書いたのである。