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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『俺のセンセイ』

『俺のセンセイ』 宮本浩次 石橋杏奈 ほか

開店休業中の漫画家が、売れっ子漫画家のアシスタントをやることになった、という話。一時間の中に、よくこれだけ上手くベタなものを詰め込んだな、という印象。

主人公は中年の漫画家。かつてヘタウマなマンガで一世を風靡した漫画家だったのだが、あることをきっかけに漫画が描けなくなってしまう。彼自身は絵が下手だとは思っておらず、仮に「ヘタウマ」であっても、ヘタと言われると見境なくキレてしまう、というキャラクター。

金策に困った主人公の前に、若手編集者が現れ、売れっ子漫画家のアシスタントをやらないかと話を持ちかける。厳ついタッチとペンネームから、てっきり若造かと思っていたら、そのセンセイは若い美女で、先輩風吹かそうと思っていた主人公は、画風の古さや長いブランクからくる技術低下について、こっぴどくやられてしまう。

口は悪いし態度はデカいし人使いも荒いし、やってられるかと反発する主人公だけれど、彼女の心優しい一面を知ったり、実は自分の作品が彼女の漫画家のルーツであることを知ったりして、なんだかんだで頑張る。そして、徐々に信頼関係が芽生えてきたか、という矢先のこと、センセイから預かった締め切り間近の原稿を、主人公は雨に濡らして台無しにしてしまうのだった。

自分を信頼して預けてもらった原稿を……と謝罪する主人公に、これは編集者とのゲームであって、既に原稿は提出済み、予想通りポカしてくれたから賭けは私の勝ちだ、とセンセイは言い放つ。その上、お前の作品が自分のルーツであるのは、ヘタでも漫画家になれるという意味においてだ、とトドメを刺す。

これによって二人の関係は完全に決裂するのだが、いまのはツンデレであるセンセイが強がって打った芝居で、本当は原稿が落ちそうであることが判明し、主人公はセンセイの原稿を間に合わせるために作業部屋に舞い戻る。そして何とか原稿は仕上がる。雨降って地固まる。女の方は頼りないお父さんが出来たような感じ。主人公の方も、もう一度漫画家としての再起を誓おうかな、という気持ちになる。

言い忘れていたけれど、これヤンシナの受賞作なんだよね。特に物語の方に感想はないんだけれど、受賞者が気の毒でならん。何がかって、主人公のキャスティングである。コメディとしてやってるのか、マジでやってるのか知らんが、とにかく酷い。立川談志(あるいは爆笑太田)のモノマネでも見させられてるのかと思ったわ。せっかくの受賞作をこんな風にしてしまうとは、フジテレビも残酷である。

しかもこれ、生放送中に実際にキレちゃった人、という理由でエレカシ宮本が起用されたわけでしょ。よくオファー受けたよね。自分でも最早ネタになってるってことか。だったら、あそこはその経験を生かして演技して欲しいよ。

あれかね、これで宮本氏に「演技もヘタというかヘタウマというか……」なんていったらキレるんですかね。いや、ヘタでしたよ、マジで。あたくしは全然聞きませんが、歌だけにしてください、歌だけに。