読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

つい漏らしてしまう

年に1回か2回、職場のボスと話し込むことがある。やりたいことがあるならそっちの道に行け、ないならうちの会社でやっていく覚悟を決めたらどうだ、という内容。これまで3,4回同じテーマで話をした気がする。今日もそういう話になった。

何か良い仕事見つかったか、何かやりたいこと見つかったか、何か好きなことはないのか、と尋ねられる。うーん、なかなか無いですよね、とこれまで同じ質問に対して口を濁してきたけれども、つい言ってしまった。本当はやりたいことがあるんだ、と。

普通なら言えないぞ。ボスが言ってる「見つかったか?」という質問はもっと現実的なものであって、私のお花畑みたいな脳みそに咲いている夢物語なんか想定されていないんだから。でも、私は言ってしまったのである。

それで、これも言っちゃいけなかったんだけれども、元々自分はずっと何のやる気も無くて、でも仕事だけは無いやる気を振り絞ってやっていて、しんどさとありがたさと、面倒くささと申し訳なさに挟まれながら、毎日を生きさせてもらっている、とかなんとか。私は大人を相手に一体何を言ってるんだろう。

実は学校に行こうと思った。計画を立てて学費も家賃も貯めた。今年で二回目の挑戦だった。最終まで行って落とされた。――こんな話をされてボスも困っただろうが、ヘラヘラ毎日を過ごしている私に、そんなにやりたいことがあるとは知らなかった、と言ってくれた。聞いているだけで他人の自分も夢が膨らんでいくと。

30なんか若い若い。生きるための金と、女、この二つに踏ん切りが付いたら、怖いもんないぞ。10年やればモノになる。まだまだこれから。10年受け続けて10回落ちたら、10年挑み続けた男として業界に売り込めば良いじゃないか、オレの子どもだったら全財産なげうってでも応援する――なんて聞きようによっちゃ随分適当な発言だけれど、前に話したときもこう言う話が出てきたから、おそらく本音で言ってくれてるんだろう。ボスは寡黙でクソ真面目でコツコツコツコツ仕事をする人。一体何が楽しいの?――とずっと思っていたが、実はこの人が私の近くにいる一番熱い人なのかも知れない。

そうか、だったらやりたいこと思いっきりやれ、仕事だって休んで良い、来年もう一回受けろ、どっちにするか悩んでる場合じゃないぞ、とメチャクチャ励ましてくれて嬉しかった。嬉しかったけど、うーん来年か。今は何にも考えられないな。

そして今は、このブログがボスにバレないかが最も気がかりである。