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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

幻の港町

少し小高いところを電車で走っていると、向こうの方に山が見えた。山の手前には街が広がっている。あれ? と思った。こんな近くに海なんかあったっけ。違うのである。山の中腹を濃い雲が上手に隠して、その雲から山の上半分だけが出ている。その様子が海に見えたのだ。半分だけ見える山は半島のようで、雲の部分が海、手前の広がるのは港町だ。まるでボブ・ロスが描いた絵のようで、ん? んん?? と何度も確かめたが、何度見ても海に見えた。

いつか同じ電車に乗って大きな虹を見たとき、誰かとこの虹の話がしたいと思った。今日も、誰かにこの幻の港町の話がしたくなった。ちょうど私の隣にいたオッサンがツレ(関西では友人・仲間の意)に、海が見える、と話をしていたのだがあっさり無視されていた。あぁ私ならその話を分かってあげられるのにな、と思ったが、もちろん話し掛けはしなかった。