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京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

宿命をものにした男

フジタという芸人がいる。ファミコンが好きでそれを仕事にしてしまった男だ。2万本近いファミコンソフトに囲まれて暮らしていることでも有名で、テレビで取り上げられるたびに周囲に引かれているので、ご存じの方も多いかも知れない。

ファミコンに関してはゲームの腕前も一流で、某課長の時間に物言わす強引なプレイとは対照的。その腕を生かし、実際にプレイしながら面白おかしくゲームの解説をするというスタイルで舞台に立っている。まぁ正直、トークの方は全くダメなのだが、さくさくプレイは見ているだけで楽しいものだ。

むかしCSのマイナーな番組で、玉袋筋太郎の下でゲームしたり、Theかれー王と一緒にピエール瀧にゲーム紹介したりしてた気がする。こんなやつ絶対売れるかい、というくらい華のない小汚い芸人だったのだが、かれー王が27歳差婚で「新婚さんいらっしゃい」に出演するくらいだから、人生何が起こるか分からないもの。彼は人知れずYouTubeで活動を始めていた。考えてみれば、彼にとってこんなにふさわしい舞台も他にないのではないか。ようやく時代が彼に追いついた。彼がそれに気付くのが遅すぎたくらいだ。

というのも、このフジタという芸人、セルフプロデュース能力に欠けているようで、元々はファミコン芸すら思いつかなかったらしく、玉ちゃんに叱責を食らったのだとか。YouTubeデビューも雑誌の公式チャンネルでの連載という形を取っていて、更新が著しく遅い。コメント欄でもファンから再三にわたって、自分でチャンネルを立ち上げろと言われていたのだ。それでつい先日ようやく、自分のチャンネルを立ち上げたは良いものの、肝心のプレイ動画はアップロードされず。失礼ながら、本当にガッカリ芸人だと思う。

悪い人じゃなさそうなんだよね。結構寂しい生い立ちみたいで、それをファミコンが慰めてくれたとか、だから自分は屈折してるとか、しかし自分のプレイを見て笑顔になったいじめられっ子の話に感動したとか。ファミコンに掛ける思いが、私の映画やドラマに掛ける気持ちに似ている気がする。といっても、彼の場合は私なんかとは比較にならなくて、自分の信念というのか、自分の宿命をものにしたような凄みがあると思う。だから、私は結構彼のことが好きだし、どうせなら売れて欲しい。

ただもう一つだけ気になるのは、彼のファミコンの管理方法で、基本的に平積みだし、風呂場やガスコンロの近くに平然と置いていたりするんで、コレクターとしてなんぼのもんじゃいとは思うのである。私はコレクターのことは分からんのだが、600冊近くある本の管理には随分気を遣っていて、それでも本って劣化していくものなのだ。あんな風に放置していたらいくらでも痛んでいくのではないか? と人ごと(人もの?)ながら心配になるのである。