京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

拗ねる

この日、仕事が終わってから新人さんの歓迎会をやった。

仕事中、ずっと暇な部署だというのに、彼女とはほとんど会話がない。まぁ仕事中なんだからそもそも私語してんじゃねえよってことで、彼女も会社の研修資料なんかにずっと目を通したりしている。

なに話そう、どう話そう、話し掛けられて嫌じゃないかな、とか晩稲男子そのものである自分自身に疲れてしまった私は、もう一切話すことを放棄することにした。そしたら、まぁ本当に一言も話さないまま業務が終わってしまったのだった。

ところが、歓迎会をやるのにバスに乗って移動していたところ、彼女は私の上司である女性となんだか楽しそうに喋っているではないか。もともとこの部署、会話を盛り上げようという心意気のある人間が一人もおらず、この女上司もそういう人だった。新人と私と女上司、という並びでいて私が気を遣って話しているときも、上司は平気で一言も声を発さないのである。

しかしなんだ、この光景は。要するに、私がいたから彼女たちは話さなかったのか。ボクすっごく頑張ってましたよね? なのに、なーんだ、私はここでも邪魔者なのか、と思うとみるみるテンションが下がっていくのを感じる。モテない男って面倒くさい。

やがて会場に到着し、口数の少ないメンバーで個室に入ることになった。いやぁ、辛い。このメンバーで食事をしても楽しかったことなんて一回も無いんだもの。元々参加をお断りしていたところを、新人が来るからと言って半分嫌々で参加することになったのに、もはや残りの半分も嫌になっているんだから。賑やかしとして呼ばれた私が実は邪魔者とあっては為す術もない、とすっかり拗ねてしまった私は、ちょこっと飲んだ酒に酔ったふりをして、会話にはほとんど口を挟まなかった。

すると案の定盛り上がりはしなかったのだが、オッサンオバハンのつまらない話に、背筋をぴんと伸ばして座った新人が相槌入れたり笑ったり自分から喋ったりするんで、偉いなぁ、社会人だなぁ、と私は感心することしきりであった。その話しぶり、エピソードのチョイスを聞いていると、この新人も、女っぽさを売りにするこの前の新人とは別タイプで、人からの可愛がられ方を相当心得ている遣い手であるな、ということが窺えた。

そうして、少し引いたところで全体を観察していたつもりだったのだが、私はどうも本当に酔ってしまっていたようで、身体が酷く重いのであった。ご飯を運んできてくれる中村ゆり似のお姉さんが可愛かった。そういえば昨日も上司と飲んでいるとき、上司の向こう側の席で飲んでいるお姉さんが可愛いかった。うちのボチボチの後輩ですらこの可愛さなのであるから、女というのは底知れぬものである。とか思ってたから、やっぱり酔ってたんだと思う。