京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

司会業の男

「アンタの顔を見るたび、あぁこの間テレビで見た人だなぁと思う」と言われ、「へぇ、まぁどこにでもいる顔ですから」と返すと、「あのー、なんだっけかな、あのジャニーズの」と言うものだから、「えっえっ、誰ですか」と私は急に食いつく。「うーん、なんだったっけ」「えーっ、じゃあ思い出したら教えてください絶対」「あのー、司会をやってる」「し、司会?」

ジャニーズで司会って誰だ。中居くん? まさか、おりも政夫じゃねえだろうな。結局、誰かは分からなかったが、オッサンは髪の長い男を見ると、とりあえずジャニーズと言うのだろうか。同窓会に行ったときも10年ぶりに会った担任にそう言われたことがあるのだった。

しかしまぁ、仕事を始めてから、ちょこちょこと容姿を褒めてもらうことがある。こんなことは私の人生では殆どない。私を格好いいなどと言うのは母親か祖母ぐらいである。高校の同級生の女子にも一度言われたことがあるが、喋らなければ、という条件付きなのだった。こんな細かいエピソードをしっかり覚えて披露しているあたりが、いかに私がそういう経験に乏しいかを物語っているだろう。

それにしても、やはり褒められると嬉しい。ただ、周囲の反応は当然ながら薄い。そこで隣にいたバイトのオバチャンに「いまの聞きましたよね? ねぇ、言ってましたよね?」としつこく確認をとると、「まぁ絹川さんは格好いいから」とオバチャンも渋々褒めてくれたのだった。

そして今、ブログで必死に自慢しているのである。リアルな私のことを知ってる人、一人しかいないのに。