京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

引っ込み思案系の末路

名もなき詩』を完成させたとき、桜井和寿はどんな気持ちだったんだろう。とんでもないものを作り上げてしまった、という感情に身体が震えたんじゃないだろうか。いや、既にそれまでにとんでもないものをいくつも作ってしまっている。自分の中から次々と曲が生まれ出てきて、出すもの出すもの当たりまくる。身体が震えたとすれば、それはちょっとした恐怖から来たものだったのかも知れない。

『BOLERO』を出して無期限活動休止から復帰したミスチルは、私の好きなミスチルとはちょっと違って、病気をした後に活動再開した頃には、もうすっかり私の元からは離れて行ってしまった。私が彼らの音楽を聴いていたのは小学生の頃だったが、その頃から、これは自分のためにある音楽だと思っていた。「ネクラで弱虫で引っ込み思案でダメな僕」が聴く音楽だと。どうしてこんなのが人気バンドなんだ、という感じ。引きこもり高校生が家でこっそり聴くべき音楽を、みんなが好きだと言っているんだから。

今となっては、これは僕たちの音楽だ、と思っていた我々「引っ込み思案系」こそがいよいよ邪魔者で、彼らの音楽は、当時から好きだと言っていたような人たちのものになったのであろう。リア充も非リア充も取り込んで、最終的にやはり非リア充は放り出される形になった、というわけ。

あぁこの感覚分かるわぁ、と思ってくれる人がいたら、私は少し救われる。