京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

別人を演じる

別人を演じるにはどうすれば良いか。まずは自分を騙すことだ。

この部署で働くとき私は、要領が良くて気が利く奴、ということになっている。嘘だと分かっていても、お世辞だと分かっていても、そう言ってくれるのを信じられたら、自ずと人はそういうキャラクターになるものだ。だから、私は原則的に引きこもりだし、友達は0人だし、非モテで女の子と喋ることもままならないのだ、と言っても、またまた~という反応が返ってくる。もちろん、これも私に気を遣って向こうが嘘をついてくれているのだが、自分を少しずつ騙すことで、自分が少しずつ今の自分から離れていき、そしてそれが少しずつ本当の自分になっていくのである。

それにしても、やっぱりこっちの新人の子は可愛すぎる。仕事熱心で私にどんどん質問してきてくれるし(あんまり上手く答えられていないのが申し訳ない)、仕事以外の話もしてくれる。横目でチラチラ観察していると、気を遣って色んな人に話し掛けているし、行きたくもないだろうに自分から飲み会を提案したりするし、別に呼びたくもないだろうにその会に私を誘ってくれたりする。出来すぎだ。逆に怖い。女の子なんて信じられない。それでも可愛い。だから本当に女の子は怖い。

悲しいことに私には、こういう女性を愛でる気持ちはあっても、どうにかしてなんとかできないかという下心はもうすっかりない。彼女を含めて職場でのコミュニケーションが純粋に楽しいのだ。だからこそ、相手が心の底で私を嫌っているんじゃないか、と思うと怖くなるし、ついつい調子に乗って羽目を外す自分が心底鬱陶しい。結局、私は別人にはなりきれないということか。

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