京都鴨川藝術大学

Kyoto Kamo River Imaginary University of the Arts

『あなたにドロップキックを』

『あなたにドロップキックを』 イモトアヤコ 惡斗 ほか

NHKの創作シナリオ大賞受賞作。芸人がする演技って苦手で、しかも相手はプロレスラーで、芝居できる奴いないんじゃね? という気持ちがあってなかなか見られなかったのだが、案外良かった。シナリオも面白かった。

結婚直前に婚約破棄されたアラサーの看護師・秋子が、ひょんなことから女子プロレスラー・モモと出会い、彼女の放つドロップキックに魅了される。元婚約者に一発お見舞いしてやろうと考えた秋子は道場に入門するのだが――というお話。

秋子は自分が脇役の人生を歩んでいる、という思いに囚われている。まぁ囚われても仕方ないのかも知れない。婚約者は幼なじみと結婚するために自分の元から離れていったのだ。こんなのベタなドラマの脇役そのものの人生ではないか。そんな秋子が、女子プロレスラー・モモと出会う。

モモが繰り出すドロップキックの迫力に秋子は惚れる。秋子にとって、モモは主役の人生を歩んでいるように思えた。しかし、モモも主役ではなかった。結婚を考えている彼に自分の職業について話すことが出来ていなかったのだ。そして秋子もずっと知らなかったのだが、モモは強烈な悪役レスラーだった。

主役を引き立てるだけの脇役なんて嫌だ、と思っていた秋子は、モモのために脇役に徹することを誓う。モモの彼氏を、モモが悪役としてリングに上がる試合に連れて行くのである。プロレスはガチではない。ブックだ。だから悪役レスラーは勝てないのだが、秋子は戦うモモを見て熱くなってくる。本気で勝って欲しいと思う。それでとうとう、モモの彼氏の前で、醜い悪役レスラーのことをモモと呼んでしまう。

試合後、控え室でモモと彼は対面する。戦うモモが格好良かったと言って、彼は彼女を受け入れる。勝つことを許されない悪役レスラーの人生が、主役のような輝きに照らされるのである。これを見た秋子は、脇役だからといって卑屈であることを止める。そして手始めに、元婚約者に死ぬほど罵声を浴びせかけ、自分の人生をもう一度歩き始める決意をする。

さて、これを見たのは言うまでもない。また私はこのコンクールに作品を出そうとしているのである。しかし、現時点で1/9しか出来ていない。その上、結末が未だ決まらん。うーん、出せるのか。出せない、という訳には行かないのだ、今回ばかりは。